女の人

鬱の診断を受けたなら迅速な対応が望まれる|再発の気を付け

カギは閉めたか病

看護師

定義と症状

盗難を心配してドアのカギ閉めを再確認するなどの行為は、ふつうのヒトでもみられます。この様な心配や行為が何回もくり返され多くの時間を費やして不安感や恐怖感、それに苦痛を感じ日常生活や社会生活に支障をきたすようになる病気を強迫性障害といいます。そしてこの心配を強迫観念、行為を強迫行動とよびます。この病気は小児期や十代に始まることが多く、家族内で複数のヒトにおこることから遺伝因子が病気の成立に関与していると考えられています。具体的にはうつ病と同じようにセロトニンという神経伝達物質のレベルが低いという説などがあります。症状はふつう徐々に始まって何らかのストレスがあると悪化し、また軽くなって長期間続きます。大人では強迫観念や強迫行動が無意味な考えや行いだと認識していることが多いですが、子どもではその様に理解していないこともあります。強迫性障害の他の例としては、火災を過度に恐れて電気器具やガス器具のスイッチを何回も確認する、手の汚れや細菌感染を心配して皮がむけるほど手を洗う、物が対称的に整理整頓されていないと落ち着かない、自分に危害が及ぶことを心配する被害妄想、他人に危害を及ぼす恐怖や不要な物を捨てられず買いだめする行為などがあります。強迫性障害は心的外傷後ストレス障害など他の不安障害、うつ病、摂食障害、注意欠陥多動性障害や身体醜形障害、心気症やアルコールの多飲、薬物乱用あるいは断続的な動きと発声を特徴とする神経障害であるトゥレット症候群を合併することがあります。

診断と治療

精神科や心療内科では、くり返される苦痛を伴った心配やイメージからなる強迫観念あるいはその苦痛を解消しようとしておこなうドアのカギ閉めや汚れた手の洗浄などを反復する行為である強迫行動をそれぞれ又は両方持っていて、これらのために費やす時間が多いため家庭での日常生活や学校や職場での社会生活を妨げている病状を把握します。そして似た症状をもつ強迫性人格障害や統合失調症など他の精神疾患と区別して強迫性障害と診断します。精神科や心療内科での強迫性障害の治療には、心理療法である認知行動療法と薬物療法が実施されます。認知行動療法には、露出と応答予防とよばれる段階があります。汚染恐怖に対する過剰な手洗いの治療のための露出では、手の汚れなどを心配する強迫観念をくり返して再体験させます。応答予防ではいつもおこなっている強迫行動である手を洗う行為を少なくするにはどうすれば良いかについて学習します。強迫観念や強迫行動を書き留める方法も用いられます。認知行動療法は、個人、家族やグループの単位でおこなわれます。薬剤による治療では、抗不安薬が必要に応じて短期間投与される場合があります。またセロトニンに影響を与える抗うつ薬も副作用に注意して処方されます。抗うつ薬が効果を示すまでには数週間かかります。ストレスを解消するための有酸素運動、散歩、瞑想、ヨガ、音楽や読書などが有効なこともあります。バランスの良い食事と十分な睡眠をとり、カフェインを多く含む飲み物、アルコールや喫煙を避けることも大切です。